立ち上がるとめまいと激しい頭痛

病院に行っても原因がわからず、長い間頭痛持ちです。

最近マスコミで話題の『低髄液圧症候群』という病気をご存知ですか?この病気は起立時に頭痛やめまいをきたす頑固でやっかいな病気のことです。脳と脊髄は中枢と呼ばれ、体の中でも最も大事な組織です。しかも非常に柔らかいため、水に浮かぶ状態で大切に保護されています。この脳・脊髄を守っている液体を髄液といいます。この髄液は容易に外に漏れませんが、まれに鞭打ち症などの時に、腰の部分の脊髄を被う硬膜の一部が裂け、髄液が皮下に漏れ出ることがあります。

例えば水の一杯はいった栓のない瓶を想像してください。この瓶をひっくり返すと水が漏れ、上部が真空状態になります。それと同じで、起立時に髄液が漏れると頭頂部の脳組織や血管が下方に引っ張られ、頭痛・めまい・嘔吐が引き起こされます。これが『低髄液圧症候群』という病気です。鞭打ち症の後に強い頭痛や吐き気、めまいで長く悩む方の中に、この病気の可能性があります。また必ずしも事故や打撲などの外傷だけでなく、くしゃみや咳などでも起こるという意見もあります。

この病気は昨年、色々な学会で注目されるようになりました。この症状の特徴は起立後、約15分ほどで頭痛が起き、横になり安静にすると症状が治まることです。診断は頭部MRIと脊髄ミエログラフィで行い、診断が確定すれば『自家血ブラッドパッチ』という自分の血液を脊髄腔に注入し、治療します。頭痛には様々な原因があります。それぞれの症状や原因に応じた適切な治療を専門機関で受けることが大切です。

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